こんにちは。守口市会議員団です。
[2013.5.20] -[新守口]
「安倍晋三首相は、『憲法改正は自民党立党以来の課題で、昨年の衆院選でも公約としてまずは96条と掲げていた。当然、今度の参院選においても変わりはない』と述べ、7月の参院選で憲法96条の改正を公約に据える考えを表明した」と報道されています。
日本国憲法96条は憲法の改正要件として、①国会が衆参両院のすべての議員の3分の2以上の賛成を得て発議する。②国民投票での過半数の賛成で承認する。と定めています。
このように通常の法律より改正が難しくなっている憲法のことを硬性憲法といいます。ほとんどの国の憲法が硬性憲法であり、世界的にはこれが標準となっています。
96条の改定は憲法を憲法でなくすことに
しかし、自民党の衆院選政権公約は日本国憲法96条の発議要件を3分の2以上の賛成から、過半数に緩和するとしていました。そして、安倍首相は今年1月30日の衆院本会議で、日本維新の会の平沼赳夫国会議員団代表への答弁で、憲法改正に関し「党派ごとに異なる 意見があるため、まずは多くの党派が主張している96条の改正に取り組む」と、明言し憲法改正の発議要件を定めた憲法96条を緩和する方向で「改正」する考えを表明していました。
本来、権力者を制限する、権力者を不自由にするのが憲法ですから、こんなことが許されたら憲法は要らないということになります。 国民主権が一言も書かれていない大日本帝国憲法の審議でさえも伊藤博文は、「臣民の権利を列記せず、只責任のみを記載すれば、憲法を設ける必要なし」と、君権を制限し臣民の権利を保護するのが憲法であると述べているのです。
内閣を組閣するには少なくとも衆議院で過半数の与党が存在していますから、憲法改正要件を3分の2の賛成から過半数に緩和すれば権力を持つものが、その都合で自由に憲法を変えてしまうことができるようになります。それでは本当に権力者を制限することにはなりません。憲法が憲法の役割を果たさなくなってしまうのです。
「国民の自由な意思で」創られた憲法と、昭和天皇
また、現在の日本国憲法は「アメリカの押し付け憲法だ。日本人の手によって憲法をつくらなければならない」と言う国会議員もいます。
日本国憲法は、アジア・太平洋戦争以後新しく創られたのではなく、大日本帝国憲法の改正案として、第90回帝国議会に付議されました。
大日本帝国憲法では改正案は国民にも議会にも発議権がないため、第73条にしたがって勅書(明治憲法下の公式令で、皇室および国家の事務に関する天皇の意思表示で特定人または特定機関に発せられた文書)が出され、その中で昭和天皇は「国民の自由に表明した意思による憲法の全面的改正を意圖し、ここに帝國憲法第73條によつて帝國憲法の改正案を帝國議會の議に付する。」と改正案、つまり日本国憲法が国民の自由な意思によるものであることを明確に述べています。
アメリカ(GHQ)の押し付け憲法だとの主張は昭和天皇の勅書を否定することになってしまうのです。
憲法9条は正義の大道を進む固き決意の表れ
「國務大臣(吉田茂君)…改正案は特に一章を設け、戰爭抛棄を規定致して居ります、即ち國の主權の發動たる戰爭と武力に依る威嚇又は武力の行使は、他國との間の紛爭解決の手段としては永久に之を抛棄するものとし、進んで陸海空軍其の他の戰力の保持及び國の交戰權をも之を認めざることに致して居るのであります、是は改正案に於ける大なる眼目をなすものであります、斯かる思ひ切つた條項は、凡そ從來の各國憲法中稀に類例を見るものでございます、斯くして日本國は永久の平和を念願して、其の將來の安全と生存を擧げて平和を愛する世界諸國民の公正と信義に委ねんとするものであります、此の高き理想を以て、平和愛好國の先頭に立ち、正義の大道を踏み進んで行かうと云ふ固き決意を此の國の根本法に明示せんとするものであります。(昭和21年06月25日衆議院本会議)」
当時の内閣総理大臣吉田茂氏は、日本国憲法の提案理由の説明で戦争放棄をうたった第9条について、その高尚な理念を説明していました。
アジア・太平洋戦争の痛苦の反省の上に立ち、日本は二度と国の主権の発動たる戦争は起こさないと固く誓ったのが日本国憲法第9条なのです。そして、それは正義の大道であり、世界に先駆けて、平和の道を進む固い決意を表したものに他なりません。