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  • こんにちは。守口市会議員団です。

    新守口No.2555 2022.5.15 市民体育館を寺方小学校へ移転?

    [2022.6.7] -[インフォメーション新守口議会報告]

    市民体育館を寺方小学校へ移転?住居地域に建設するのは不可
     総合的且つ一体的な観点からの都市計画は街づくりの基本

     守口市の令和4年度予算が賛成多数で可決しましたが、日本共産党は杉本議員の反対討論の中でいくつかの問題点を指摘しました。「にぎわい交流施設整備基本計画」を策定し事業を進めるということについてです。
     この事業は京阪守口市駅前にある市立体育館を解体しその跡にホール機能を持つ施設を建設し、寺方小学校跡地に市民体育館を新たに建設するもので、それに関連して現在の文化センター(エナジーホール)を解体、跡地を民間に委ね、商業施設あるいは住居施設を誘致するというものです。基本構想の粗い試算でも整備費だけで130億円にのぼる巨大な公共事業です。
     
     体育館を寺方小学校跡地に移転するには幾つかの問題がありますが、大きな障害は守口市の都市計画です。寺方小跡地は第2種中高層住居専用地域ですから、建築基準法法の制限で体育館は建設できません。
     敢えて体育館を寺方小跡地に建設しようとすれば手法は3通り考えられます。
    ①特別用途地区による用途の緩和
    ②用途地区を変更した上での特別用途地区による用途の規制
    ③建築基準法第48条のただし書きによる特定行政庁の許可
    による方法のいずれかの手順を踏むことにより、用途地域内の体育館整備を可能とすることができます。
     ①の手法は、建築基準法49条第2項に定めがあり、「用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める」もので「地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合は、国土交通省大臣の承認を得、条例で特別用途地区内の建築物の制限を緩和することができる」ものです。
     ②の手法は「都市の計画的な土地利用を実現するため定められる地域地区の中でも最も根幹をなす制度である用途地域の変更は、都市計画マスタープラン等が見直されるなど、将来のあるべき市街地像の変更が生じ た場合と、土地利用の動向、都市基盤施設等の整備状況等の把握を踏まえた定期的な見直し、いわゆる一斉見直し が基本となっている」もので、最もリスクが高いものです。
     利害関係者による公聴会の開催が必要であり、判例にあるように、体育館建設のために用途地域の一部を変更したとしても訴訟に耐え難いものです。とりわけ、寺方小跡地近辺は住居系の地域であり、その中に忽然と商業系が設定されるとすれば都市計画マスタープランも含めて守口市の街づくり全体が市民の信頼をなくしてしまいます。
     ③の手法は建築基準法48条ただし書きで「特定行政庁が第二種中高層住居専用地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。」とされている事を利用するもので、文字通り「良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認め」られる場合に特定行政庁によって許可されるものです。この場合特定行政庁とは守口市であり、守口市が守口市に許可するものですから、許可基準というものを明確にする必要があります。そのためには最低でも公聴会の開催、建築審査会の同意というものが必要になります。地方自治体が申請する場合には、一般的には他に必要な土地がないなどやむを得ない場合に限定されています。

    また、消防署や警察署などとの協議調整も必要です。
     ①の手法は国土交通大臣の承認を得て条例で定める。
     ②の手法は国土交通大臣の承認なく条例化できるが変更後も訴訟のリスクを負う。
     ③の手法は公聴会の開催、建築審査会の同意が必要。建築審査会に同意の理由説明責任が発生。
     となり、いずれも容易ではないことが明らかです。
     第6次守口市総合基本計画や令和3年を初年とした都市計画マスタープラン、平成29年3月改定の立地適正化計画など街づくりや土地利用に関する計画では、一言も触れていなかったものが、突然、令和4年主要施策の中に守口市にぎわい交流施設最適配置基本方針(基本構想(素案))として、体育館(アリーナ)を寺方小学校跡地へ移築・新設との方針が打ち出されたものです。
     都市計画という街づくり全体を総合的に勘案したうえで体育館の移築・新築検討することをしていないから、用途地域での土地利用に無理が生じてしまいます。今必要なことは性急に体育館の移設・新設を行うのではなく、それぞれの計画の一体性・整合性をはかり、将来の守口の街づくりを市民とともに考えることです。

     

    参照=都市計画変更決定取り消し訴訟判決「都市計画とは、街づくりを様々な観点から総合的、一体的に検討して成り立っているものであり、総合的、体系的なものである。したがって、都市計画の 内容をなす様々な項目は、全体として見ることによってのみ意味のあるもので あるから、このうち、ある部分のみを他の部分や全体から切り離して、その当 否、適法性を論ずることは無意味であり、かつ、総合的に街づくりを考えようとする都市計画の本質に反する。」