こんにちは。守口市会議員団です。
人件費削減は経常収支を改善するは、まやかしであったことが明らかに
自治体の財政を分析するのにはいくつかの指標があります。近年は、「財政健全法」に基づく健全化判断比率・資金不足比率などがクローズアップされていますが、それだけで自治体の財政が判断できるものではありません。
主要な財政指標の一つに、経常収支比率というものがあります。経常収支比率とは、地方税や地方交付税、地方譲与税を中心とする一般財源収入の中で、人件費や扶助費、公債費等の義務的に支払わなければならない経費がどの程度の割合を占めているかをしめす指標で、この数値が高くなるほど新規の事業などを行う余裕がなくなっていくことを示しています。
西端市長の就任から現在までの決算における経常収支比率 | |||||||||||
区 分 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | ||
経常収支比率(%) | 100.7 | 96.9 | 97.0 | 96.2 | 100.7 | 100.5 | 100.5 | 99.5 | 99.5 | ||
うち人 件 費 | 29.9 | 26.9 | 26.0 | 23.9 | 23.5 | 22.0 | 20.4 | 18.4 | 16.7 | ||
うち扶 助 費 | 15.4 | 15.5 | 16.4 | 17.0 | 19.5 | 21.9 | 23.5 | 22.2 | 22.0 | ||
うち公 債 費 | 18.7 | 18.1 | 16.7 | 16.3 | 17.9 | 16.9 | 16.5 | 17.5 | 16.6 | ||
うち物 件 費 | 11.0 | 12.3 | 12.7 | 13.6 | 14.7 | 14.0 | 14.3 | 15.0 | 15.7 | ||
うち補 助 費 等 | 9.3 | 8.0 | 8.6 | 12.3 | 12.4 | 12.1 | 11.6 | 12.1 | 13.4 | ||
うち繰 出 金 | 15.8 | 15.5 | 15.9 | 12.3 | 12.1 | 13.1 | 13.4 | 13.7 | 14.5 | ||
実質公債費比率等 | 8.2 | 8.1 | 7.6 | 7.1 | 7.0 | 7.0 | 7.2 | 6.8 | 6.7 | ||
主な経常経費の推移 単位百万円 | |||||||||||
区 分 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | ||
生活保護費 | 9,630 | 9,956 | 10,953 | 11,021 | 10,920 | 10,804 | 10,478 | 10,261 | 9,696 | ||
人件費 | 9,762 | 9,038 | 8,859 | 8,495 | 7,917 | 7,631 | 7,159 | 6,622 | 5,386 | ||
委託料 | 2,790 | 2,776 | 3,095 | 3,684 | 3,888 | 3,713 | 3,883 | 4,827 | 6,137 |
守口市の平成24年度から令和2年度決算までの経常収支比率の推移は上の表のとおりです。
バブル崩壊以後多くの自治体が投資的経費の捻出が困難になり、経常収支比率を下げるためには人件費の削減だと、職員給与等の削減に手を付けました。守口市は西端維新市長になってからその急先鋒の役割を果たしてきました。
市長就任時には96億円余あった人件費が職員削減等により昨年度決算では54億円弱まで削減されました。経常収支比率に占める割合も30%弱から16.7%にまで引き下げられました。
しかし、経常収支比率はほぼ横ばいで、一向に「改善」される様子がありません。
上の表の推移を見てみると、平成24年度に11%であった物件費が、昨年度には15.7%にまで上昇している物件費が「改善」を阻害しているいち因であることがわかります。特に委託料です。28億円弱であった委託料は昨年度には61億円以上です。(尤も昨年はスーパープレミアム券発行などの一時的な委託料もありますので注意が必要です)
委託料は年々増加していますが、清掃費や、総合窓口、税などの市が行う義務のある事業を民間に委託していますから委託料が必要になります。人件費を安い民間労働者に入れ替えても、事業が続く間は費用が必要です。
職員を削減して人件費を切り下げてもその代替は必要であり、結局、経常収支比率は驚くほど「改善」はされないことを守口市の結果が示しています。