こんにちは。守口市会議員団です。
令和2年守口市議会12月定例会が開催される
小・中学生への図書カード配布・高齢者施設へのコロナ対策など
12月5日に開会した守口市議会12月定例会で日本共産党の杉本議員は令和元年度守口市一般会計決算の認定に反対討論を行いましたので、その要旨を紹介します。
市有地の売却と借金での黒字決算
令和元年度決算の概要で一般会計は11年連続黒字と述べていますが、単年度収支で見ると平成26年度に5億3千8百万円の赤字、平成28年度には15億3千万円の赤字を出しています。実質収支は前年度の収支を反映していますから、赤字年度の前年度の黒字額によって補填し、見かけ上の連続黒字を保っているにすぎません。その黒字額も、市民の財産である市有地を売却し、一旦基金に積んで、それを翌年度以降に取り崩すことによって財源不足を補っている現状をきちんと見ておく必要があります。つまり、市有地の売却と臨時財政対策債という赤字市債の発行なくしては「黒字」が生まれていないということです。
令和元年度の単年度収支は、普通会計で8億7千3百万円の黒字ですが、この年度は国の幼児教育無償化を100%国負担で行うにことによる国支出金や子ども子育て支援臨時交付金などが、3億6千5百万円歳入されていますし、昨年度の歳計剰余金で3億円積み立てた減債基金から2億5千万円の繰入金があってのものですから、決して、財政構造自体が改善されたのではなく、黒字の実態は砂上の楼閣にも等しいものがあります。
小学校のプール開放事業は廃止ありきで進めた
この年度は、子どもたちに大変人気があり、楽しみにしていた小学校プール開放事業が廃止されました。
守口市は、保健所から指導を受けたと言いますが、茨木保健所の担当者は、「現在の設置基準に満たないから直ちに危険だとは考えていない。すぐに設置基準を満たせという指示もしていない。」と、述べています。指導事項については「設備が古くなったり、故障したりして改修するときには現在の設置基準を満たすことが求められています」ということです。予算の時の委員会で理事者は、「そのほかいろいろ検討した」といいましたが、実際は、検討した公文書も残っていないもので、何が何でもプール開放事業は廃止という一貫した強権的な姿勢がみられるもので容認できません。
また、市民体育館で行っていた介護予防教室も人気のある事業でしたが、令和元年度は市民体育館で5教室に縮小され、2年度からは包括支援センター事業として行われていますが、守口市の事業としては廃止されました。
この年度の扶助費中、老人福祉費単独事業は千百十一万円、児童福祉費の160分の1でしかありません。高齢化社会といいながら、高齢者への施策があまりにも貧弱です。
生活保護・再三にわたる大阪府の監査による指摘
次に、生活保護については強く指摘しなければなりません。
生活保護は社会的弱者の最後のよりどころです。最後のセーフティーネットです。生活保護担当者は市民に寄り添うことが大切です。また、寄り添える体制をつくることが必要です。
令和元年度の大阪府の
監査では「監査時現在、現業員の配置数が社会福祉法に定める標準数に比して15名不足している状況です。また、現業員9名が社会福祉主事資格を有していない状態でした。」と指摘されています。
この回答として「人事所管課と協議し、所要人員の確保に努める。社会福祉主事の任用資格を有していない者に社会福祉主事資格認定通信過程を受講させている」としていますが、順序が逆です。
配置してから資格を取ってもらうのではなく、資格を持った職員を配置するのが当然ではないでしょうか。
専門職というものをあまりにも軽視しています。また、被保護者を増やさないために異常なことも起こっています。
「生活保護の申請を行う前に社会福祉協議会の小口融資を受けなさい」「暮らしサポートセンターで就労活動をしてから来てください」「面接員が夏季休暇で対応できないから明日また来てください」「貯金通帳を見せてください」「(別世帯の)長男を連れてきてください」等々です。
社会福祉協議会の小口融資は、現在はコロナ禍のもとで償還免除などの措置もありますが、従来は、貸付限度額20万円で据え置き1年で償還期間2年です。
借りたら返済しなければなりません。ところが、生活保護費では借金返済は認められていません。返済できない借金を強要するのは断じて容認できません。また、就労支援や通帳の提示などを指導できるのは生活保護の申請を受理してから初めてその権限が生まれるもので、受理する以前にその権限はありません。
面接員が休暇で対応できず相談者を翌日回しにするなど、一体どうなっているのか。相談者はどんな思いをしながら市役所に来ているのかその心中を慮(おもんばか)れば胸が痛みます。
それぞれの専門家を軽視した人事施策の貧困
生活保護法を熟知した、福祉の専門家がきちんと対応することの重要性がひしひしと感じられます。ただ単に人員を配置すればそれでよしとする人事施策の貧困が垣間見られます。
建築や都市計画、土木の専門家の減員も深刻です。旧本庁舎解体でのアスベスト除去をめぐって大幅に工期が遅れ、近隣住民にも多大な不安と不信を与えました。
施行管理を民間に委託し、守口市が直接工事管理をしなかったことに原因があります。もっとも、直接施行管理しようとしてもその人員がいないのですから、どうしようもありません。
旧本庁舎の解体工事で明らかになったことは、少なくとも施行管理は直営で行わなければならないということです。特にアスベストなどの毒性あるものの解体は、毎日現場に詰めて目を光らせることが大切です。なんでも民間任せでは、市民の安全と健康を守ることができないということです。
学童保育の民営化は保育の質の低下を招いた
民間委託といえばこの年度は学童保育、児童クラブの民間委託も行われました。
物件費が2億5千5百万円と前年度より1億7千万円以上も増加しています。民間に委託することによって1億7千万円も費用が増額になったのです。市長は民間のノウハウを生かしてコロナ禍のもとで対応できたと述べられましたが、それは、3月だけのことです。まだ、直営時代の指導員が雇止めされる前だったから対応出来たのです。
雇止めになった後、守口市は委託業者のために規制緩和して便宜を図ったではありませんか。それまで、各クラスに2人の資格を持った支援員が必要でした。。それが突然、雇止め後はコロナ禍のための緊急開設中は資格のある支援員は一人でいい、あとの一人は資格がない人でもいいと条件を緩和していたのです。
結局、民間委託では保育の質の主要な柱である資格のある支援員を確保できなかったため、条件を緩和しなければならず、質の低下を招いてしまいました。人さえ配置すればいいという専門家や有資格者の大切さが軽視されています。
市長の言う民でできるものは民でという施策は結局のところ市民サービスの低下と費用の増加ということになってしまいました。
いま、守口市に必要なことは、市民生活を直視し、市民からいただいた大切な税金を市民のために使い、市民生活向上を図っていくことであるということを申し上げて反対討論とします。