こんにちは。守口市会議員団です。
さくら小学校新築工事36億4千万円の契約
大阪高等裁判所で「手抜き工事」が認定された業者が契約
6月27日守口市議会定例会最終日の本会議で、さくら小学校新築工事請負契約の議案が満場一致で採決されました。
契約の目的
さくら小学校新築工事
相手方
大阪市浪速区難波中3丁目5番19号
南海辰村建設株式会社
代表取締役 口 野 繁
契約金額
37億480万円
大木建設株式会社大阪支店 | 3,450,000,000 | |
株式会社松村組大阪本店 | 3,830,000,000 | |
株式会社ナカノフドー建設大阪支社 | 3,640,000,000 | |
株式会社淺沼組大阪本店 | 3,683,000,000 | |
大末建設株式会社大阪本店 | 3,625,000,000 | |
東洋建設株式会社大阪本店 | 3,665,000,000 | |
南海辰村建設株式会社 | 3,368,000,000 | 落札 |
株式会社中道組守口営業所 | 無効 | |
入札金額は、消費税及び地方消費税の額を含まない金額です。 | ||
入札記載金額 3,368,000,000円で 南海辰村建設株式会社に決定 | ||
・予定価格(税抜き) 3,379,050,000円 | ||
・最低制限価格(税抜き) 3,041,145,000円 |
さくら小学校新築工事を一般競争入札で行うことが告示されたのは、平成31年4月10日、入札が行われたのは5月14日(火)から5月15日(水)までで、5月17日(金)に開札が行われています。
落札したのは南海辰村建設株式会社です。同社は、大津京ステイションプレスというマンション建設を巡って施主の株式会社大覚との間に紛争が生じ、裁判が行われています。平成22年に同社がマンション建設費用の支払いを求めて、平成23年には大覚が建物は重大な瑕疵があり、耐震性もなく建て替えが必要として反訴し、以後訴訟が行われていました。平成25年2月26日大阪地方裁判所において第一審判決の言い渡しがありました南海辰村建設の大覚に対する請負代金の請求に関して、補修費用約1千万円等を除く大部分が認められた一方、大覚の請求は棄却されました。大覚は判決を不服として控訴し、大阪高等裁判所は今年の4月12日に控訴審判決を言い渡しました。南海辰村建設の施工不備が指摘され、14階建て108戸のマンションの建て替えが認められるという異例の判決でした。南海辰村建設は、この判決を不服として、平成31年4月22日、最高裁判所に上告受理申立を行いました。現時点で最高裁判所が「上告受理」をするかどうかは明らかにはなっていません。
問題は高等裁判所で、14階建て108戸というマンションが施工不備、つまり手抜き工事で建て替えが認められるという異例の事態を招いていることです。もちろん「上告受理の申し立て」を行っていますから「確定」はしていませんが、「手抜き工事」で完成させた建物を解体して再築が必要との高等裁判所の判決は建設業者にとっては致命的なものです。最高裁で上告を却下するのか、受理して再審査するのかは不明ですが、少なくとも現時点では高等裁判所の判決で判断することが必要です。さくら小学校という児童や地域がその完成を楽しみにしている建物を「手抜き工事」が高等裁判所で認定されている建設業者に任せていいものでしょうか。
さくら小学校建設用地
守口市は、「守口市入札参加停止要綱」で、別表に定める「措置要件」に該当する有資格者について、一般競争入札において入札に参加させない措置及び指名競争入札において指名しない措置をとることができると定めています。別表では15項目にわたって措置要件を定めていますが、今回の南海辰村建設の事例では入札停止の要件には当てはまりません。わずかに11項の「建設業法違反」、建設業法28条関係として「建設業者が建設工事を適切に施工しなかつたために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき。」などに国土交通大事や都道府県知事が建設業者に対して、必要な指示を出した場合は入札に参加させいない措置をとることができます。しかし、これでも「上告」などにより裁判が引き伸ばされ確定していなければ「必要な指示」も出せません。結局、守口市の要綱では今回の南海辰村建設の事例では入札停止措置はできないということになります。
しかし、市民感情としてはこれほど重大な「手抜き工事」が高等裁判所で指摘された建設業者が守口市の大切なさくら小学校建設にかかわっていいのかという疑問が残ります。
この契約議案が審議された市議会福祉教育委員会ではわずかに維新の会市議団が少し取り上げただけで、ほとんど議論されませんでした。委員長報告でも「空調等の設備については適切な維持管理に意を配し、より良い学習環境の整備に努められたいこと。なお、近隣住民等に対し、工程等について十分な説明と丁寧な対応を心がけるとともに、工事監理には万全を期されたいとの希望意見を付し、満場一致をもって、これを原案どおり可決すべきものと決した」とだけ述べています。
裁判所の現場調査でマンションの基礎部分のコンクリートがコンクリートのアクであるレイタンスの除去ができていない可能性があるため基礎が一体化していないなど最も重要な基礎部分での施工不備は致命的な欠陥です。
このような業者を排除できるような要綱に改めてこそ公共事業の安全安心の担保ができます。法的な隘路はありますが、まず研究することが大切です。