[2019.8.28] -[新守口]
今年度の地方交付税・臨時財政対策債可能額が決定
守口市の交付税は約66億8千6百万円
総務省は、令和元年度の地方交付税額について確定したと報じられています。令和元年度は15兆2100億円で、前年度より1620億円増となっています。
国が自治体に配分する2019年度の地方交付税額が、7月23に日決まりました。今年度は、大阪府内では新たに田尻町が地方交付税を受けない不交付団体になりました。
普通交付税の決定 単位 億円 % |
区分 |
令和元年度 |
平成30年度 |
伸び率 |
道府県分 |
81,796 |
81,435 |
0.4 |
市町村分 |
70,304 |
69,045 |
1.8 |
合計 |
152,100 |
150,480 |
1.1 |
地方交付税は各自治体の行政サービスに必要な額(基準財政需要額)から税金などの税収(基準財政収入額)を引き、足りない額に応じて配分されます。したがって、税収が需要額を上回ると、交付されなくなります。
地方交付税は、本来地方の税収入とすべきですが、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持できるように財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば国が地方に代わって徴収する地方税です。
地方交付税は、国税五税の一定割合が地方団体に法律上当然帰属するという意味において、地方の固有財源です。地方交付税の総額は基本的に、所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の22.3%、地方法人税の全額となっています。
今年度大阪府には、2千4百61億1千5百万円が配分されました。
守口市には下記の表のとおり、66億8千6百万円が交付されることが決定されています。
守口市普通交付税決定額と臨時財政対策債発行可能額の推移 単位 千円 |
区 分 |
令和元年度 |
平成30年度 |
平成29年度 |
平成28年度 |
普通交付税 |
6,685,556 |
6,619,116 |
6,542,499 |
6,179,485 |
臨時財政対策債 |
1,938,744 |
2,340,162 |
2,515,905 |
2,296,221 |
地方交付税に加えて、臨時財政対策債の発行可能額も提示されています。臨時財政対策債は平成13年度に導入された地方債の一種で財源不足を補てんするため、地方自治体が特例として発行する赤字公債です。
地方自治体が標準的行政サービスを行うための歳出に対して財源不足がある場合、国から自治体へ地方交付税が交付されることになっていますが、この間、地方交付税の原資が、全国の自治体で必要とされる地方交付税の必要総額を大きく下回る状況が常態化しています。このため、自治体の財源不足額を国と地方で折半し、地方の負担分を臨時財政対策債を発行して補てんするとして、平成13年度以降、多くの地方自治体が地方交付税と臨時財政対策債の発行とを合わせて、行政サービスの経費を賄っています。
総務省は、臨時財政対策債の元利償還金相当額について、その全額を地方交付税の基準財政需要額に算入し、交付税で措置すると言っています。
総務省が説明する通りなら、臨時財政対策債は地方が立て替え払いする地方交付税と言えますが、後年度に地方交付税で措置されるとはいえ、臨時財政対策債の債務を返済するのは、公債の発行体である地方自治体です。
建設債と異なり、赤字公債の発行は将来の世代への負担の先送りといわなければなりません。
さらに問題なのは、臨時財政対策債の元利償還金相当額が交付金額ベースで地方交付税に上乗せされるとは限らないからです。なぜなら基準財政需要額は、土木費、教育費、厚生労働費、産業経済費などの行政項目別に、地方自治体の人口、児童生徒数、高齢者人口などを基礎に算出します。ですから人口減少によって各行政項目の基準財政需要額が減少すれば、元利償還金相当額を交付税措置したとしても、地方交付税の交付金額は純増することにはならないのです。
臨時財政対策債という特例的な赤字地方債に依存する状況が続けば、地方自治体の財政運営が不安定になります。地方自治体は、財政健全化に向けた地方債残高全体の計画的な引き下げにも取り組む必要があります。