[2017.1.10] -[新守口]
「彼ら(自衛隊員ら)に対し、今この場所から心からの敬意を表そうではありませんか」
安倍晋三首相が9月26日の衆院本会議での所信表明演説でこう述べ、演説を中断して、「夜を徹して任務に当たっている」自衛隊員らをたたえる拍手をし、多くの自民党議員が一斉に起立して拍手したことに、批判と違和感が広がっています。
「戦時中、学徒動員を拍手で戦地に送りだした光景を連想する。自衛隊を拍手で送りだすもので、臨戦態勢、戦意高揚の異様な光景だ」。元私立高校校長という男性は共産党本部にこう感想を寄せました。
まさに戦前の日本やナチス時代のヒトラーへの“喝采”と二重写し―。軍事的価値観の強制につながる権力者の異常な行動です。
安倍首相は9月12日の自衛隊高級幹部会同での訓示で、戦争法や日米新ガイドラインの整備をあげ、「制度は整った。あとはこれらを血の通ったものとする。必要なことは、新しい防衛省・自衛隊による『実行』です」「今こそ『実行の時』」だと、「実行」という言葉を繰り返しました。戦争法の「実行」へ檄を飛ばしたのです。
戦争法の新任務はいずれも、自衛隊が海外での武力行使・戦闘に踏み込み、「殺し殺される」重大な危険をはらみます。その自衛隊に感謝と敬意が示されなければ、隊員の士気は維持できず、隊員になる者もいなくなる―。安倍首相の行動の動機でしょう。
米議会では、軍隊への敬意を示す場面で、民主党・共和党の区別なく一斉に議員が起立して拍手するのが通例です。理由は同じことです。
日本もアメリカのような軍事国家になろうという安倍首相の野望をあらわにした光景でした。
志位和夫委員長は「衆院本会議の「総立ち拍手」の件。首相は「問題ない」というがそうはいかない。何より問題なのは、首相が行政府の長であるにもかかわらず立法府の議員に対して「皆さん敬意を払おう」と号令をかけたことだ。「行政府の長」が「立法府の長」のようにふるまい議員が追随した。三権分立への無理解が怖い。」とツイッターでつぶやいています。