[2019.10.10] -[インフォメーション・新守口・議会報告]
桜町、日吉・金下団地の住民からの陳情を議論
住み慣れた街、住み続けたい市営住宅を奪わないで
歳出総額に占る自主財源・維新市政で7年連続4割前後
財政構造上、止むを得ないと免罪する監査委員意見書?
平成30年度決算が公表され、市議会決算特別委員会の審査に付されます。守口市の決算では、いくつかの重要な指標がありますがその中の一つに自主財源と依存財源があります。
地方公共団体の財源には、自主財源と依存財源がある。自主財源は、自治体が自らの権能に基づいて自主的に収入できる財源で、自主財源比率は、財源全体に占める自主財源の比率である。
自主財源は、市町村税、分担金及び負担金、使用料、手数料、財産収入、寄附金、繰入金、繰越金、諸収入からなる。
一方、依存財源は自治体が政府や上層の地方公共団体に依存するかたちで調達する財源で、地方交付税のほか国庫支出金・地方譲与税・都道府県支出金などである。
自主財源の多少は、行政活動の自立性、安定性を図る尺度となる。
守口市の自主財源と依存財源の推移は下表のとおりです。平成24年度決算からが現市長が当初予算を編成し決算を調整した年度になります。
守口市の監査委員は、毎年決算に対して「守口市決算及び財政指標の審査意見書 」というものを3名の監査委員連名で市長に提出します。これは、地方自治法第233条第2項及び地方公営企業法第30条第2項に基づいて、決算書及び附属書類等の計数を確認するとともに、予算の執行及び事業の経営が適正かつ効率的であるか、また、財政運営が適切に行われているかを、計数分析、経営分析を行い、審査した結果を意見書としてまとめたものです。
区分 | 19年度 | 20年度 | 21年度 | 22年度 | 23年度 | 24年度 |
自主財源(%) | 51.2 | 51.6 | 50.4 | 45.8 | 46.5 | 42.1 |
依存財源(%) | 48.8 | 48.4 | 49.6 | 54.2 | 53.5 | 57.9 |
区分 | 25年度 | 26年度 | 27年度 | 28年度 | 29年度 | 30年度 |
自主財源(%) | 41.4 | 41.1 | 38.5 | 40.8 | 38.3 | 40.9 |
依存財源(%) | 58.6 | 58.9 | 61.5 | 59.2 | 61.7 | 59.1 |
平成30年度の「意見書」は自主財源と依存財源について、これまでと違った見解が述べられています。
日本共産党大阪府議団調べ~府内ほとんどの自治体が国保料の値上げ
市民のくらしに背を向け大阪府に追随する守口市の姿勢が問われる!
30歳代夫婦と未成年の子ども2人の4人世帯で年収300万円の場合 | 65歳以上74歳以下の夫婦で年金月12万円ずつの場合 | |||
年間保険料 | 昨年度比 | 年間保険料 | 昨年度比 | |
大阪市 | 300,355 | -4,637 | 30,102 | -99 |
堺市 | 297,182 | 1,225 | 28,648 | 235 |
岸和田市 | 337,070 | 18,327 | 35,886 | 2,034 |
豊中市 | 301,184 | 6,886 | 30,420 | 1,092 |
池田市 | 343,372 | 14,487 | 32,883 | 2,220 |
吹田市 | 308,938 | 6,321 | 32,633 | 346 |
泉大津市 | 322,533 | 4,405 | 34,355 | 570 |
高槻市 | 275,292 | 14,784 | 26,647 | 314 |
貝塚市 | 337,070 | 18,942 | 35,886 | 2,102 |
守口市 | 337,070 | 18,942 | 35,886 | 2,102 |
枚方市 | 300,042 | 6,207 | 28,683 | 1,260 |
茨木市 | 312,852 | 5,238 | 33,249 | 1,044 |
八尾市 | 330,322 | 5,167 | 30,069 | 123 |
泉佐野市 | 337,070 | 18,942 | 35,886 | 2,102 |
富田林市 | 343,533 | 19,113 | 35,250 | 5,010 |
寝屋川市 | 298,626 | ± 0 | 26,550 | ± 0 |
河内長野市 | 328,678 | 10,550 | 34,992 | 1,207 |
松原市 | 346,192 | 8,506 | 35,647 | 1,862 |
大東市 | 325,448 | 10,289 | 31,863 | 1,319 |
和泉市 | 326,586 | 17,541 | 33,444 | 1,980 |
箕面市 | 335,094 | 22,299 | 34,650 | 1,800 |
柏原市 | 335,650 | 17,522 | 35,744 | 1,960 |
羽曳野市 | 308,091 | 9,946 | 32,808 | 1,146 |
門真市 | 328,020 | 10,592 | 30,933 | 1,950 |
摂津市 | 311,671 | 17,812 | 32,902 | 1,749 |
高石市 | 337,070 | 15,287 | 35,886 | 2,985 |
藤井寺市 | 337,070 | 18,942 | 35,886 | 2,102 |
東大阪市 | 309,210 | -14,095 | 32,918 | 3,513 |
泉南市 | 341,403 | 8,375 | 33,228 | 3,846 |
四條畷市 | 316,133 | 670 | 30,532 | 688 |
交野市 | 320,752 | 4,402 | 32,513 | 1,127 |
島本町 | 337,070 | 18,942 | 35,886 | 2,102 |
豊能町 | 314,111 | 5,649 | 33,930 | 210 |
能勢町 | 318,687 | 6,663 | 32,335 | 2,335 |
忠岡町 | 329,964 | 11,836 | 35,139 | 1,355 |
熊取町 | 333,254 | 23,054 | 34,455 | 3,644 |
田尻町 | 305,220 | 3,101 | 31,406 | 2,222 |
阪南市 | 337,070 | 18,942 | 35,886 | 2,102 |
岬町 | 331,351 | 15,207 | 35,274 | 1,687 |
太子町 | 302,357 | 3,398 | 31,138 | 484 |
河南町 | 299,053 | 15,148 | 31,319 | 1,589 |
千早赤阪村 | 259,224 | -2,714 | 27,438 | -54 |
大阪狭山市 | 304,977 | 6,085 | 31,532 | 868 |
[2019.10.4] -[インフォメーション・新守口・議会報告]
守口市議会9月定例会が始まる
度重なる解体費用のの増額変更~さつき(旧滝井)小学校解体で
住み慣れた住宅を立ち退き要求は納得できないと住民が陳情
守口市議会9月定例会が開かれます。主な議案や陳情についてお知らせします。 旧滝井小学校の解体現場
歳入歳出予算の補正 (単位 千円) | |
補正前の額 | 63,981,782 |
補正額 | 41,558 |
補正後の額 | 64,023,340 |
地方債限度額の補正 (単位 千円) | |
補正前の額 | 1,249,400 |
補正後の額 | 1,286,800 |
変更前 | 変更後 | |
契約金 | 275,842,800 | 313,965,280 |
契約保証金 | 27,585,000 | 31,397,000 |
完成 | 令和元年9月30日 | 令和元年10月31日 |
[2019.10.4] -[インフォメーション・新守口・議会報告]
住み慣れた住宅で済み続けたい「住み替え事業は考えなおして」
団地住民が市議会に陳情書を提出
日吉金下団地住替え要求撤回に関する陳情が、市営日吉金下団地自治会から、桜町団地退去についての陳情が、桜町団地自治会一同から、市議会に提出されました。両陳情とも、守口市が進めている「市営住宅の住替え」は無理があると述べ、住民一同が納得できていないとしています。
日吉金下団地自治会は、陳情の要旨で「無理の理由」として、「自治会で住民みんなと話し合い」の結果、「○コミニテイ崩壊してバラバラになれば、ストレスによる認知症になる。○エレベーターのないところは、膝や腰の悪い高齢者は生活できません。○民間移住の補助金が2年で止められてしまうと、あと生きてゆけない。○何一つとっても、現在の場所から他の市営住宅に住替えても、住民にとって安心安全に暮らしてゆけるとは思えないです。等々…」をあげています。
桜町団地の陳情は「入居者は多数が高齢者であり、退去引っ越し等は困難であります。引き続き桜町団地の存続を希望いたします。」と。ハッキリ団地の存続を訴えています。そして、陳清の趣旨の中で「桜町団地は、平成25年の計画では「耐震補強と合わせて、団地の建て替えを行う」と言う方針が出ていました。しかし『建て替えの話はなくなりました。耐震が不十分なため、出て行ってください。』と役所の一方的な判断での強制退去を推し進められています。住民一同全くもって納得しておりません。…団地入居者の現状を今一度ご理解頂きたいです。入居者のほとんどが高齢であり、通院をしている者も多数おります。長年慣れ親しんだ住まいとコミユニティを離れるということは、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。当初の計画からの変更に関しても、不十分な説明のままです。どうか住民の不安や不満が解消されるようなご対応を、今後十分なご説明をお願いいたします。耐震・修繕工事を実施していただき、引き続き桜町団地の存続居住を、我々は
強く希望いたします。」と、守口市の方針に疑義を訴えています。
陳情書を議長に~日吉金下団地住民
陳情書を議長に~桜町団地住民
守口市の赤字体質は本当に脱却を達成したのか
借金残高600億円超・自主財源5割以下・経常収支百%超
平成30年度年決算で全て改善できたのか?
平成30年度決算が9月12日から始まる守口市議会9月定例会に提案され、決算特別委員会に付託され審査される予定です。
守口市は、平成29年度の「連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析」において「赤字体質からの脱却を達成している。」と述べています。
確かに守口市は、平成21年度(西口市長時代)から29年度まで実質収支は黒字を続けていますが、単に黒字を出しているから赤字体質ではないというのは早計です。一般的に赤字体質とは、経常的な収入に比して経常的支出が多いことをさします。守口市の経常収支は、平成24年、28年、29年の3年は100%を超えています。平成25年、26年、27年も臨時財政対策債という起債(借金という名の収入)を入れなければ100%を超えています。もちろん国が地方交付税の足りない分を借金でという政策に大きな誤りがありますが、借金は利子をつけて返さなくてはなりません。(返済する元金利子は地方交付税で補てんするとしていますがあくまで基準財政需要額に算入されるもので現金で補てんするものではありません)
借金残高の推移(単位 百万円) | ||||||||||||
H17 | H18 | H19 | H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 |
49,839 | 49,528 | 47,221 | 46,760 | 47,398 | 48,619 | 47,309 | 50,352 | 53,210 | 58,835 | 61,343 | 60,840 | 63,802 |
喜多市長 | 西口市長 | 西端市長 |
29年度までの借金残高の推移は上表のとおりですが、24年度の現市長が編成した予算の決算から借金残高は500億円を超え、29年度決算では638億円にも上っています。
下図は、一人あたりの負担額を表していますが、守口市民赤ちゃんからお年寄りまで44万3千円の借金を背負っています。一方、一人あたりの市民税額は、現市長就任前の22年度が15万3千円だったものが29年度には14万8千円と減少しています。一人あたりの市税収入は減少しているのに、借金残高は大幅に増えているのです。
生活保護費の負担や、公共事業である建設事業費も大幅に増えているにもかかわらず、主要な収入である市税(個人市民税・法人市民税・固定資産税など)は平成22年度には221億円ありましたが毎年減少を続け、29年度は、213億円と、22年度に比べて、8億円も減少しています。
主な項目 | 平成22年度決算 | 平成29年度決算 |
市税収入 | 152,769 | 147,998 |
その年度の借金額 | 40,934 | 54,382 |
借金残高 | 335,736 | 442,761 |
建設事業費 | 19,842 | 68,697 |
生活保護費 | 62,942 | 74,977 |
各年度市民一人あたりの決算額 |
市税収入の減少というのは自主財源の減少につながります。守口市の自主財源比率は平成19年度以降50%を割り込んでいます。平成29年度は38・3%と過去最低になりました。29年度は15億3千3百万円の土地の売り払い収入があったにもかかわらず自主財源は史上最低水準にったのです。
自 主 財 源 の 推 移
区分 | 19年度 | 23年度 | 24年度 | 25年度 | 26年度 | 27年度 | 28年度 | 29年度 |
自主財源(%) | 51.2 | 46.5 | 42.1 | 41.4 | 41.1 | 38.5 | 40.8 | 38.3 |
依存財源(%) | 48.8 | 53.5 | 57.9 | 58.6 | 58.9 | 61.5 | 59.2 | 61.7 |
西端市長就任後7年間は、形式的には収支は黒字を続けてきました。しかし、その実態は土地の切り売りと借金に頼って赤字を隠してきたにすぎません。自主財源の低下と市税収入の減、借金残高の異常な増加、どれをとっても「赤字体質からの脱却を達成している」とは言えません。
平成30年度決算では、これらの数値がどのように改善されたのでしょうか?
グランドデザインのない無計画な公共事業と借金だよりの財政運営が平成30年度どのようになっているのか市議会での議論が待たれます。
[2019.10.3] -[新守口]
介護保険 改悪議論を加速・
要介護1、2を給付外し社保審部会で議論開始
夏が来るたび楽しみにしていた小学校プール開放
責任を大阪府に転嫁して、一方的に事業廃止
生涯学習・スポーツ振興課からのお知らせ
プール開放事業について
令和元年度より、プール開放事業は中止いたします。
守口市のホームページに掲載されている文章です。中止する理由も示さず、市民の意見も聞こうともしていません。
お友達に教えてもらって~大久保小学校プール開放に♪
監視員さんが5人いて、危険な子には即注意!?
ピーッッ!!
おかげで、小さな子も安心して遊ばせれる(*^^*)
守口市で育って結婚してからも守口市に住んでいる女性のブログです。喜んでいる姿が目に見えるようです。
こんなに喜んでいる市民の声があるにもかかわらず、たった1行のお知らせでプール解放事業を中止する守口市の姿勢は強権的すぎます。
平成17年まで守口市には5カ所の市民プールがありました。左表上段は平成15年度の市民プールの利用者数で、下段は平成17年度の小学校プール開放事業の利用者数です。
市営プール | 日吉プール | 大枝プール | 橋波プール | 八雲プール | 藤田プール |
利用者数 | 4703人 | 7708人 | 9359人 | 7081人 | 11544 |
プール名 | 南小学校 | 守口小学校 | 大久保小学校 | 錦小学校 | 橋波小学校 | 藤田小学校 |
開設日 | 8/4~8/14 | 8/4~8/14 | 8/5~8/14 | 8/15~8/24 | 8/15~8/24 | 8/15~8/24 |
利用者数 | 1040人 | 900人 | 1800人 | 700人 | 1200人 | 1700人 |
大阪府内の守口市を含む6市の認定こども園、幼稚園、小中高校を含めた児童施設を15時34分に爆破するとのメールが送られてきたのは8月9日でした。
門真市の公式ツイッターでは「令和元年8月9日、門真市を含む複数の自治体に、幼稚園や小学校などの教育機関を爆破する旨の不審なメールがありましたが、爆破予告時間の午後3時34分を過ぎても特に異常は無く、各施設の安全を確認しましたのでご安心ください。」と発信しています。
守口市の公式ツイッターは8月8日に「ゆるキャラグランプリ」速報を発信し、11日には「13日に大阪府の移住定住イベントでもりぐち夢・未来大使のU・Kさんともり吉が守口のPRを行います」と、発信。爆破予告とその対応については何も知らせていません。大阪府警・安まちメールはすでに、9日14時51分に爆破予告メールの事実を発表していますが、守口市は議会にも当日の報告はしていませんでした。市民にも知らせず、市民協同での安心安全は、掛け声だけで終わるのではないでしょうか。
守口市の認定こども園ではそれぞれ避難方法が異なりました。にじいろ認定こども園は東部エリアコミュニティセンターに、外島認定こども園は民間の老人施設に、あおぞら認定こども園は寺方元町の第2児童公園にそれぞれ避難しました。
あおぞら認定こども園の連絡版には「15時15分から50分頃までスギ薬局前の公園に避難しておりました。暑い中でしたが無事避難を終えました」と書かれており、その下に「本日高温注意報発令」というボードが張り付けられていました。日影があったとはいえ、高温注意報が発令している中、小一時間乳幼児を公園に避難させて熱中症などの2次被害の心配をしなかったのでしょうか。公共施設の廃止は緊急避難の時にその弱点が露出します。 市民の間からは守口市の危機管理意識はいったいどうなっているのかとの疑問の声が上がっています。
他の市では、保護者に連絡して(メールやライン等で)可能であればお迎えもと、要請しています。保護者との連絡網も守口市の公立認定こども園では確立していないのでしょうか。早急な対策が望まれます。
さくら小学校新築工事36億4千万円の契約
大阪高等裁判所で「手抜き工事」が認定された業者が契約
6月27日守口市議会定例会最終日の本会議で、さくら小学校新築工事請負契約の議案が満場一致で採決されました。
契約の目的
さくら小学校新築工事
相手方
大阪市浪速区難波中3丁目5番19号
南海辰村建設株式会社
代表取締役 口 野 繁
契約金額
37億480万円
大木建設株式会社大阪支店 | 3,450,000,000 | |
株式会社松村組大阪本店 | 3,830,000,000 | |
株式会社ナカノフドー建設大阪支社 | 3,640,000,000 | |
株式会社淺沼組大阪本店 | 3,683,000,000 | |
大末建設株式会社大阪本店 | 3,625,000,000 | |
東洋建設株式会社大阪本店 | 3,665,000,000 | |
南海辰村建設株式会社 | 3,368,000,000 | 落札 |
株式会社中道組守口営業所 | 無効 | |
入札金額は、消費税及び地方消費税の額を含まない金額です。 | ||
入札記載金額 3,368,000,000円で 南海辰村建設株式会社に決定 | ||
・予定価格(税抜き) 3,379,050,000円 | ||
・最低制限価格(税抜き) 3,041,145,000円 |
さくら小学校新築工事を一般競争入札で行うことが告示されたのは、平成31年4月10日、入札が行われたのは5月14日(火)から5月15日(水)までで、5月17日(金)に開札が行われています。
落札したのは南海辰村建設株式会社です。同社は、大津京ステイションプレスというマンション建設を巡って施主の株式会社大覚との間に紛争が生じ、裁判が行われています。平成22年に同社がマンション建設費用の支払いを求めて、平成23年には大覚が建物は重大な瑕疵があり、耐震性もなく建て替えが必要として反訴し、以後訴訟が行われていました。平成25年2月26日大阪地方裁判所において第一審判決の言い渡しがありました南海辰村建設の大覚に対する請負代金の請求に関して、補修費用約1千万円等を除く大部分が認められた一方、大覚の請求は棄却されました。大覚は判決を不服として控訴し、大阪高等裁判所は今年の4月12日に控訴審判決を言い渡しました。南海辰村建設の施工不備が指摘され、14階建て108戸のマンションの建て替えが認められるという異例の判決でした。南海辰村建設は、この判決を不服として、平成31年4月22日、最高裁判所に上告受理申立を行いました。現時点で最高裁判所が「上告受理」をするかどうかは明らかにはなっていません。
問題は高等裁判所で、14階建て108戸というマンションが施工不備、つまり手抜き工事で建て替えが認められるという異例の事態を招いていることです。もちろん「上告受理の申し立て」を行っていますから「確定」はしていませんが、「手抜き工事」で完成させた建物を解体して再築が必要との高等裁判所の判決は建設業者にとっては致命的なものです。最高裁で上告を却下するのか、受理して再審査するのかは不明ですが、少なくとも現時点では高等裁判所の判決で判断することが必要です。さくら小学校という児童や地域がその完成を楽しみにしている建物を「手抜き工事」が高等裁判所で認定されている建設業者に任せていいものでしょうか。
さくら小学校建設用地
守口市は、「守口市入札参加停止要綱」で、別表に定める「措置要件」に該当する有資格者について、一般競争入札において入札に参加させない措置及び指名競争入札において指名しない措置をとることができると定めています。別表では15項目にわたって措置要件を定めていますが、今回の南海辰村建設の事例では入札停止の要件には当てはまりません。わずかに11項の「建設業法違反」、建設業法28条関係として「建設業者が建設工事を適切に施工しなかつたために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき。」などに国土交通大事や都道府県知事が建設業者に対して、必要な指示を出した場合は入札に参加させいない措置をとることができます。しかし、これでも「上告」などにより裁判が引き伸ばされ確定していなければ「必要な指示」も出せません。結局、守口市の要綱では今回の南海辰村建設の事例では入札停止措置はできないということになります。
しかし、市民感情としてはこれほど重大な「手抜き工事」が高等裁判所で指摘された建設業者が守口市の大切なさくら小学校建設にかかわっていいのかという疑問が残ります。
この契約議案が審議された市議会福祉教育委員会ではわずかに維新の会市議団が少し取り上げただけで、ほとんど議論されませんでした。委員長報告でも「空調等の設備については適切な維持管理に意を配し、より良い学習環境の整備に努められたいこと。なお、近隣住民等に対し、工程等について十分な説明と丁寧な対応を心がけるとともに、工事監理には万全を期されたいとの希望意見を付し、満場一致をもって、これを原案どおり可決すべきものと決した」とだけ述べています。
裁判所の現場調査でマンションの基礎部分のコンクリートがコンクリートのアクであるレイタンスの除去ができていない可能性があるため基礎が一体化していないなど最も重要な基礎部分での施工不備は致命的な欠陥です。
このような業者を排除できるような要綱に改めてこそ公共事業の安全安心の担保ができます。法的な隘路はありますが、まず研究することが大切です。